暗くて愚かなニクいやつ。

俺はお前を殴らないからお前も俺を殴らないでおくれ

ショートストーリー

ブラックコーヒー【小説再掲】(500文字程度)

数秒前の意気込みが嘘のように、彼女はみるみる顔をしかめていく。手に持っているのは僕と同じ、一杯三百円のブラックコーヒー。 「えーと…… 無理はしないでね?」 彼女は幼少期、コーラと誤飲して以来コーヒーが苦手らしい。それなのに彼女はあろうことかこ…

投げるのが下手【小説再掲】(500文字程度)

「おつかれさま」 俺がグラウンド脇に設置されている水道の下に頭を突っ込み、炎天下の中行われた体育終わりの汗を流していると、隣のクラスの彼女がそう言って、缶ジュースを下手で投げてきた。俺は頭上に手を構える。 しかしその缶は俺の手を大きく上回っ…

君を見つけた日【小説再掲】(500文字程度)

小学生時代に同級生だった女の子を見つけた。当時ショートヘアーだった髪型がロングヘアーに変わってはいたけれど、僕はすぐに気が付いた。 高校入学初日、昇降口の入り口付近にある掲示板の周りにはたくさんの学生がいて、貼り出されたクラス発表の紙を前に…

居残り【小説再掲】(500文字程度)

「それでさあ」「へえ」 彼女は前の席から、僕に対して一方的に喋り続ける。僕は時折相槌を打ちながら、宿題用のノートにペンを走らせる。 放課後の、僕たちしかいない教室。 僕にとって、何よりも幸せな時間。 しかしそこで、彼女が手に持つスマホから、短…

優柔不断な元性犯罪者が女の子を助けたら懐かれてしまった時の話【小説再掲】(6000文字程度)

『うーん』「……」『あのさ』「……」『……』「……」『そろそろ離してもらってもいい?』「……」『そんな力強く裾引っ張られたらしわになるって』「……」『参ったな』「……」『あっ、そうだ!コンビニ行こう、コンビニ!なんか食べたいものある?』「……やきとりがい…

マンスリー伝説【小説再掲】(5000文字程度)

「この学校には、伝説があるの」 図書室の受付。 俺の右隣の椅子に座る月野先輩が、脈絡もなくそんなことを言い出した。「はあ…… 伝説っすか」「うわぁ~、興味なさそ~。顔こわ~い」「顔については生まれつきですけど」 先輩は声に抑揚をつけて、これっぽ…

同い年の先輩【小説再掲】(4500文字程度)

「先輩!おはようございますです」 先輩の後ろ姿を確認したわたしは、早歩きで先輩を追い抜きました。振り向いて、自分が一番可愛く見えるよう研究し尽くした表情と角度で先輩の顔を覗き込みます。精一杯ぶちかましてやりましたと得意気になったのも束の間、…

終末の片想い【小説再掲】(4000文字程度)

ガラス扉を開けると、冷ややかな風が僕を覆う。こんな状況になってまで作動しているとは驚きだが、都合がいいことには違いない。それも、今日までではあるのだが。「あなた、不良なのね。 お酒はハタチになってからよ」 僕とは少し距離を取り、彼女は別のガ…

僕は幽霊、幸せ者さ【小説再掲】(1700文字程度)

畳んだビニール傘を携えて、ひと月ぶりに君がやってきた。 先月とは打って変わって、今日は薄手のカーディガンを羽織っているんだね。 木々の緑に溶けてしまいそうなほどの、落ち着いたグリーン色。 君はしゃがみ込んで傘を地面に置いて、僕の墓石に手を合わ…

悪魔は、あくまでも。【小説再掲】(6000文字程度)

「クックック…… 私は悪魔だ。お前の魂と引き換えに、どんな願いも叶えてやろう」『それじゃあ悪魔のお姉さん。僕の、スケベでいやらしい恋人になってくださいよ』「え〜、それはヤダな」『どんな願いも叶えるって言ったじゃないですか』「え〜、だって恋人っ…

ぼくは、人喰い。【小説再掲】(1800文字程度)

ぼくのこと、人は、化け物という。 見た目は、人と変わらない。 普段は誰もいない山奥に住んで、誰とも関わらないように生きている。 誰に迷惑をかけているわけでもないし、ましてやそれが寂しいと思ったこともない。 月に一度、人を喰う以外には。 別に、人…

雲の上で遊びたい【小説再掲】(1600文字程度)

Tシャツが汗ばむ午後一時。 ソーダ味のアイスには歯形が付いている。「雲の上で遊びたい」 君はそう言い、真っ白のワンピースを翻す。「フワフワしてて、楽しいんだろうなあ」 きらめく瞳が、忘れられない。『雲の上には立てないよ』 勉強が得意な僕は言う。…

温めますか?【小説再掲】(1300文字程度)

『コンビニの女性店員に恋をしました。 アプローチをしたいのですが、どのような方法が良いでしょうか?いきなり連絡先を渡されても、向こうは引いちゃいますか?』 恥ずかしながら、この文章は俺がネットに書き込んだものである。 今まで女性とは縁がなかっ…

ニブンノイチX乗の半生【小説再掲】

床に這いつくばりながら涙をこらえる私に、君が手を伸ばす。 だいじょうぶ?と君は笑う。 だいじょうぶ。そう答えて私は泣く。 またあいつにぶたれた。私は何度も立ち上がり、両手であいつを突き飛ばす。 あいつの頭に血が上る。走ってくるあいつを、君が足…

「ずっと私に愛を語ってくれたなら、きっとその気になっちゃうかもね」 - 幸せな洗脳【小説再掲】

「私と、付き合ってください」 そう言い渡された僕が思いのほか冷静でいられたのは、何も僕が、そういった旨の台詞を言われ慣れているモテ男であるからではもちろんない。 むしろ、僕の人生とはほとんど縁が無かった言葉だったし、本来なら気が動転しておた…

【小説再掲】ニートを追う藻野、伊東をも得ず。

「よー、藻野。プリント届けに来てやったぞ」 「ひゃあっ!?」 隣の家に住む幼馴染兼クラスメイトである藻野の部屋へ入ると、そこに彼女はいた。藻野は自室の中で、ラフな格好をした全身がすっぽりと納まるほどの大きな鏡と対面しており、何やらふにゃふに…

リハビリングガールズ‼︎〜もう一度、エタりを超えたその先に〜 #2「ホトトギス」

「うーん、ダメだ。思い出せない」 「……孝太郎くん、どうしたの?」 「おお、鴬谷。三つ編みメガネがステキな優等生の鴬谷じゃないか」 「説明口調だね」 1限目の休み時間。 俺が自分の席で頬杖をつきながら考え事をしていると、同じクラスの女子生徒・鴬谷…

リハビリングガールズ‼︎〜もう一度、エタりを超えたその先に〜 #1「ピザ」

「きょーこちゃん!」 俺の前の席に座る一色彩花(いっしき さいか)は身を乗り出し、彼女の左隣の席に座る女子生徒に話しかける。明るく無邪気な声色だ。彼女が動いた拍子に、頭の左側から垂らした、短めのサイドテールがぴょこぴょこと躍動する。 「はい」 …

SS供養『青春の残骸』

こんばんは、あんぐろいどです。今日は過去Twitterに投稿したショートショートの紹介。『青春の残骸』恋愛面に対して、過去に思い切った決断が出来なかった男が学生カップルを見て物思いにふけるお話です。学生時代、恋愛面に関してかなり苦汁を舐めてきた僕…

SS供養『夏場の妄想』

こんばんは、あんぐろいどです。暑くなってきましたが、皆さんはいかがお過ごしですか?1ヶ月ぐらい前に『夏の暑さの話』をやって、5月にこんなに暑くちゃ7月8月はどうなるんだろうなあと思っていたところの今現在、6月。ぶっちゃけ朝寒くね?さー俺の嫌いな…

今日は供養をしようと思う

こんばんは、あんぐろいどです。『今日は供養をしようと思う』という、何やらいつもとは違う感じのタイトルですが、別に大したことではありません。皆さんは『SS名刺メーカー』というサイトをご存知でしょうか?https://sscard.monokakitools.net/index.html…