暗くて愚かなニクいやつ。

俺はお前を殴らないからお前も俺を殴らないでおくれ

なあ!?いいかげん、起きろよ…… 起きてくれよ!!

「それで」

 

背後の扉が開いて、誰かが入ってくる感じがしたものの、僕は振り向かなかった。振り向きたくなかった。一瞬たりとも、【彼】から目を離したくなかった。

男はそんな僕の反応に特に不快感を露わにすることもなく、部屋に入るなり、僕に言った。

 

「それで【彼】は、まだ起きないのか?」

 

「……起きない。まだ」

 

僕はベッドの上で仰向けになっている【彼】の顔を覗き込む位置から、目線を外すことなく応える。男が再度入室してきたことから、【彼】がもうすでに、決して短くない時間眠り続けていることに気付く。

焦燥感に苛まれた僕は、前方へ身を傾けた。【彼】の方に身を傾けたことで、座っていたパイプ椅子が、キィ、ときしんだ音を出す。

 

「やれやれ…… 【彼】は、ずいぶんとお寝坊さんだな」

 

男の嫌味に腹を立てる余裕はなかった。

僕はこんな奴のことよりも、【彼】のことが心配だった。

 

「……マイペースなだけです。あんたがこの場にいても状況は変わらないし、さっきまでみたいに外で時間を潰してりゃいいでしょ」

 

「辛辣だな。まあそう堅いこと言うなよ」

 

男は出入り口の扉近くに置かれたソファに、どっしりと腰を下ろした。大人の体重を預かったソファが、ふてぶてしい物音を立てる。

耳障りな音に気を取られ、無意識で男の方を向いてしまう。見ると彼は、数センチぐらいの、白い棒を咥えていた。

 

「たばこ、やめてくれませんかね」

 

「あん?俺は昔、女房に嫌な顔をされた時からずっと禁煙してんだ。そんなもん、吸うかよ」

 

男は咥えた白い棒を、前歯で噛み砕いた。ガリ、という音が響く。

続け様に、咀嚼音が聞こえる。

ガリ、ゴリ、ガリ。

男は短くなった白い棒を二本の指で持ち、僕に言った。

 

「それからずっとこいつと一緒さ。ココアシガレット。それぐらい、いいだろ?」

 

「……まあ、それなら」

 

本当ならこの部屋で、僕一人で【彼】の目覚めを待ちたかったのだが、ここに居座ろうとする男を止めることは出来なかった。そんな権利が僕にはなかったし、出て行く義務も男にはなかった。

 

「俺みたいな、何も続けて来られなかったようなどーしようもねえ奴がさ、こいつを使った禁煙だけは続いてんだぜ。笑っちまうだろ?」

 

この男のことは無視して、目の前の【彼】に神経を注ぐことに集中したかったが、男はおかまいなしとばかりに僕に話を続けた。

 

「本物のたばこを吸った俺を咎める女房は、もうずっと前からこの世にいねえのによ」

 

男はそれ以上、何も言わなかった。僕も、何か言葉を返す義理はなかったため、黙っていた。それ以上に、返す言葉が見つからなかった。

沈黙が部屋に充満して、僕の身体の内側にまで、ゆっくりと浸透していく。半紙に墨汁が染み込むように。ゆっくりと、ゆっくりと。

【彼】は目を覚さない。

 

「なあ」

 

しばらくして、男が口を開いた。

 

「そいつが起きたら、一緒に何がしたい?」

 

沈黙が苦になるタイプでもあるまいに、男は僕にそう問いかけた。僕は男の方に振り向きもしなかったが、その声色から、男が単純な興味からその質問を口にしているのだと分かった。

 

「……『何が』ってのは、ない。強いて言うなら、『何もかも』だ」

 

「そうかい。叶うといいな」

 

男がそんな、僕を後押しするかのような言葉を僕にかけるのは、珍しいことだった。少なくとも僕が知る限り、男はそんなことを言う人間じゃなかった。

先ほど男がこぼした、もうすでにこの世にいないという『女房』の話を思い出す。

もう二度と言葉を交わすことが出来ない相手がいるという、どうにもならない事実を、同じ状況に陥る可能性がある僕に重ねているのかもしれない。

僕は【彼】の手を、両手で優しく握った。

 

 

 

あれからどれほど時間が経っただろう。

まだ【彼】は、起きなかった。

部屋の中には相変わらず、【彼】と僕と、男。

僕の中で、張り詰めた弦が切れるような音がした。

 

「……もう、起きないんですかね」

 

僕は無意識のうちに、そう口走っていた。男は何も応えなかった。

 

「待っても、待っても、待っても…… 状況は一向に改善されない!改善されないんだ!あの時から、ずっと!!僕は、こんなに待っているのに!!なんで!なんでだよ!」

 

「落ち着け」

 

男の声色は、どこまでも平坦だった。

 

「そいつは、やかましい目覚めを何よりも嫌うんだろ?前にお前が言ってたじゃねえか。『【彼】は、自然に目を覚ました時の方が輝くんだ』って」

 

男の言葉に、僕は冷静さを取り戻す。

 

ただ待つだけじゃ身が持たねえだろ。だから、考えてろ。【彼】が起きたら、何がしたいのか。考えておかないと、いざ起きた時、あたふたしちまうぜ?」

 

「そう…… です、ね」

 

取り乱したことを恥じながら、僕は数回、深呼吸をした。男に言われた通り、僕は考える。

楽しいことを。

嬉しいことを。

今後【彼】と、何がしたいのかを。

 

「……もし、【彼】が起きたら」

 

僕の思考は、縦横無尽に広がってゆく。

想像が、解像度を高めてゆく。

 

僕は縋るように、彼の名前を呼ぶ。

 

 

 

 

 

【やる気】が起きたら」

 

 

 

 

 

やる気が起きません!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!こんばんは!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!あんぐろいどです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

……はい。

というわけで、ブログの導入部分の文字数の多さを連日塗り替えていますが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。

僕は【やる気】が起きてくれません。助けて。あいつ眠りっぱなしだわ。

 

 

 

マジマジのマジで今日はやる気が起きなかったので、

「やる気が起きないよ〜〜〜〜〜!!!!!うぇ〜〜〜〜〜ん!!!!!」

ってことだけを今日のブログの主軸にしようと思ってこの記事を書き始めたものの、気付けば冒頭のお話に2000文字以上費やしていました。

 

やる気がないから今日は絶不調だった先月下旬ごろの、画像+簡易的な短文のみという構成にしよっかな?と思っていましたが、なんだかんだ1時間近くかけて上記のお話を書いてました。

やる気がないことを伝えたかったのにめちゃめちゃやる気出してて本末転倒かよ。

 

まあそうは言っても、やる気というものはやり始めてから出るものじゃないですか。

そう言われてますし、僕もよく実感します。

やっぱり今考えて答えが出ないことを頭でうだうだ考えているより、早く行動した方がオトクだってことですよね。早く喋った方がオタクだってことですよね。それは違うか。

 

まあともかく、やる気が出ないことは事実なので今日はこの辺にしておきたいと思います。

気付けば20時過ぎだし、お腹も減ってきた。

やる気がなくてもお腹は減るからしんどいね。シドウィーンだね。シドウィーンってなんですか?

 

そんな感じで、本日はこの辺で。

それでは、あんぐろいどでした。