暗くて愚かなニクいやつ。

俺はお前を殴らないからお前も俺を殴らないでおくれ

君を見つけた日【小説再掲】(500文字程度)

 小学生時代に同級生だった女の子を見つけた。当時ショートヘアーだった髪型がロングヘアーに変わってはいたけれど、僕はすぐに気が付いた。

 高校入学初日、昇降口の入り口付近にある掲示板の周りにはたくさんの学生がいて、貼り出されたクラス発表の紙を前に彼らは一喜一憂している。その後ろの方に彼女はいた。

 昔だって、僕と彼女の間に大した接点は無かった。彼女と同じクラスになり、彼女が転校するまでの数ヶ月間、僕は彼女と、たった一言さえも言葉を交わしてはいない。僕が一方的に目で追っていただけだ。

 あの時はアプローチなんて、考えもしなかった。

 見ているだけで満足なんて言い訳ばかりしていた。きっとテレビの前でアイドルでも見ていたような感覚だったのだろう。

 しかし、転校という形で僕の手が届かなくなってから、後悔ばかりが募っていった。小説なんかに出てくる『胸が張り裂ける』という表現は、このことを言うのだろうと痛感した。そんな後悔を抱き続け、僕はこの気持ちを恋と知った。

 気付けば僕は足を進めていた。集団の迷惑にならないように気を遣いつつ、でもはやる気持ちが溢れ出てしまう、そんな速度で。

 少し恥ずかしかったけれど、もう後悔はしたくない。


「あ…… あのっ!」


 春風に揺れる君の長い髪を見て、僕はそう誓った。






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